Simple Box House
斜面地に建つため敷地の高低差を活かして3層(地上2階地下1階)ヴォリュームを敷地中央に配置した。
インナーガレージと内玄関のアプローチは地下1階レベルから、玄関アプローチは1階レベルからとしている。
根切り深さを抑え、掘削土量を減らすために最大で高さ5m以上になる擁壁は工作物ではなく、建築物として一体化した計画としている。
クライアント家族は、将来は独立したり仕事の関係などで家を出る可能性もある子供たちと限られた時間を楽しく快適に過ごせるすまいを望んでおられた。時間をかけて探し出した理想の敷地ではあったが、背後に崖があり、用途地域も第一種低層住居専用地域と厳しい上に地区計画や風致地区条例などの規制がかかるため「本当に私たちの希望する家が建つのか」と不安に思っているようだった。
クライアントは以前別の土地で某ハウスメーカーの木造住宅を建てており、その当時の経験から「次は建築家に設計をお願いしたい」と考えておられた。独立後第一作であったため私個人としての実績はなく不安に感じるかと心配していたが「むしろ光栄です」と言って頂いた。
設計中は2週間に1回程度打合せを行って仕様やコストについても丁寧に説明して納得頂いた上で進めた。御家族と一緒に何度かショールームへ行って好みのテイストや色などについて共有を図った。
工事中の監理の段階では、内装材の決定に際して現地でサンプルを並べ素材感や色味を確認した上で決定して頂いた。細かいところでは屋上手摺の見え方に関して、施工者に協力して頂いたベニヤのモックアップで高さや位置を確認してもらった上で施工して頂いた。
傾斜地の角地に建つ家族を護り育てるシンプルな箱型住宅。
プライバシーとセキュリティに配慮して開口部は最小限に抑えているが、1階リビングのトップライトから効果的な光を導入している。
計画にあたってはコスト配分に留意してバランスの取れたメリハリのある空間を目指した。
1階リビングはコンクリート打放しの壁を実現するため一部外断熱を用いている
竣工後、法律・会計・不動産・設計・施工の各分野でこの住宅に関わった担当者を招いて頂き楽しいひとときを過ごさせて頂いた。クライアントからは「素敵な美しい家で毎日生活できることが嬉しくて、仕事場にいても早く家に帰りたくて仕方がないんです」とのありがたい言葉を頂いた。初めての冬の寒さや地下室の湿気も問題ないとのこと。結構な床面積のある住宅なので「お掃除は大変ではないですか」と尋ねると、「お掃除も楽しいんです」との返答。愛されている住宅を設計させて頂いたことを嬉しく思う。
敷地角からの全景
右側のシャッターは地下1階レベルのガレージと内玄関への入口となっている
南面
お隣には立派な桜の樹が植えられており春には2階から満開の桜が眺められる。
門扉はスチール材のフラットバーで竪格子をデザインした
玄関アプローチ夜景
竹を植栽しライトアップしている
栃木県の若山農場が品種改良したヒメアケボノモウソウチクという品種で、六本木ヒルズや東京ミッドタウンにも植えられているもので、成長しても6m程度にしかならないとのこと
玄関
右手は下足入れで扉を鏡貼としている
同様の仕上の左側は玄関クローク
1階のトイレ
階段下のスペースを有効活用し手洗スペースとしている
手洗ボウルや鏡はクライアントお気に入りのもの
洗面下の造付収納家具はシナベニヤで大工さんに造ってもらった
取手はアルミアングル材を利用している
1階のリビング・ダイニング
打放しの壁にトップライトからの光が注ぎ季節や時間によって違った表情を見せる
トップライト
キッチン
キッチンユニットやコンロ、レンジフードなどは既製品を組み合わせてコスト削減を図っている
階段室
2階個室
カウンター付窓下収納や壁面収納はシナベニヤ製の造付